多重債務の代表的な解決方法の一つに、おまとめローンがあります。
複数の借金をまとめて一本化し、場合によっては金利も下げられる、
一見非常にお得なプランですが、意外な落とし穴がないわけではありません。
では、おまとめローンを利用すべき人、そうでない人の間には、どのような違いがあるのでしょうか?
今回はこの違いを検証していきます!
高額の借り入れの人⇒◯
少額の借り入れの人⇒×
基本的に融資というのは、借り入れ額が多ければ多いほど、
金利はそれに反比例して低くなるよう設定されています。
そのため複数の借金を一つにするおまとめローンは、その性質上高額融資になりやすく、
たいていの場合は金利が少なくなるのです。
ここもまた、おまとめローンの大きな魅力の一つですよね。
以下に、一例を紹介します。
<高額の借り入れの人>
※借入件数2件、総額320万円、おまとめローン後の金利8.0%の場合
金融機関 |
借入額 |
金利 |
利息総額(6ヵ月) |
利息総額(1年) |
A機関 |
120万円 |
15.0% |
53,043円 |
99,900円 |
B機関 |
200万円 |
10.0% |
58,737円 |
109,981円 |
A機関+B機関合計 |
111,780円 |
209,701円 |
||
おまとめローン |
320万円 |
8.0% |
75,080円 ※36,700円お得 |
140,356円 ※69,345円お得 |
おまとめ前後でこれだけ支払い総額に差が出るのなら、これを利用しない手はありません。
おまとめローンのメリットを最大限享受できるので、こうした人は是非とも利用すべきと言えるでしょう。
<少額の借り入れの人>
逆に元々の借り入れが少ない人の場合、それを一つにまとめたとしても、
合計の借り入れ額が金利を下げられる基準に満たないことが大いにあり得ます。
契約前後の内容次第では、むしろ金利が高くなってしまうこともあるでしょう。
この場合、返済を一本化し、整理することは出来ますが、
金額的にわざわざ損な契約をすることになるので、おすすめできません。
とにかく月額返済を減らしたい人⇒◯
つい返済額を減らしてしまう人⇒×
<つい返済額を減らしてしまう人>
おまとめローンの利用する際に気をつけたいのは、
「金利は下がったけれど支払い総額は増えてしまった」
というパターンに陥らないようにすることです。
これはどういうことかと言うと、
利用者の方の中には、おまとめしたことで月額返済の最低ラインが下がり、
返済額を減らしてしまう方がいるということです。
月々の返済を減らせば、返済期間が長くなり、
結果として支払わなければならない利息が増えてしまう…考えてみれば、当然のことですよね。
たとえ金利を下げることができても、それではおまとめローンのメリットも半減です。
最低返済額が減っても変わらず同じ額だけ返済し続けるには、意志の強さが必要です。
ついつい楽な返済をしてしまう、油断しがちな方は、おまとめローンに向いていないかもしれません。
<とにかく月額返済を減らしたい人>
ただし、月々の返済を減らすこと自体が目的なら、その限りではないでしょう。
「毎月が苦しく、支払い総額に目を瞑ってでも生活を立て直したい、
資金に余裕が持てるまではとにかく毎月の返済を減らしたい」
という方なら、十分利用すべき価値があります。
どちらの場合でも言えることですが、
おまとめローンを組んだ時点で、もう一度返済計画をきっちり見直すようにしましょう。
返済に専念できる人⇒◯
借り入れ・返済を繰り返したい人⇒×
利用者にとってプラスの面ばかりに思えるおまとめローンですが、
「おまとめされた金融機関」の立場で考えてみると、
金融機関にとっては「本来得られるはずだった金利を失ってしまう」ので、
利益の機会損失に他なりません。
ということは、おまとめローンを利用した人に対し、新たにローン契約を結んでくれるかというと、
なかなか難しい話だと想像が付きますね。
一概に言えませんが、審査が相当厳しくなるのは間違いないでしょう。
つまり、おまとめローン後も新たにローンを契約したい人にとっては、
大変な足枷になってしまう可能性があるのです。
これを避けるためには、
「追加融資が可能なおまとめローンを利用する」
「返済後もその金融機関でローンを契約する」
という方法がありますが、希望の金融機関でうまく契約を組めるとは限りません。
おまとめローンは、借り入れの自由を犠牲する代わりに低金利を得ることになるのが一般的です。
おまとめ以後も頻繁にローンを利用したい人の場合、
多少無理をしてでも個別に返済した方がいい場合も多いといえます。
この場合、よく検討してからの利用をおすすめします。