働くことができず、収入がない。頼れる人もいない。
そんな苦しい生活を送る方を救済してくれるのが、生活保護制度です。
マイナスイメージを持たれがちな制度ですが、生活に困っている方を支援するためのものですので、
必要な場合は遠慮せずに申請するべきです。
今回は、生活保護の概要や申請手順について分かりやすく解説していきます!
そもそも生活保護って何?どんな人が申請できるの?
厚生労働省によると、
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
(厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/)
とされています。
簡単に言うと、自分が持っている資産を手放したり、できる限りの就労をしたりと、
生きていくためにできることはやっているけれど、「それでも生活が苦しい」という方を国が救済する制度です。
近年では不正受給者に関するニュースが相次いで報道されているため、
「生活保護受給者=国からもらったお金で遊んで暮らす人間」
というマイナスイメージを持っている方がいるのも事実です。
そのため、生活が苦しいけれど生活保護を受けることに罪悪感を持ち、
申請をしないという貧困者が増えているそうです。
しかし、今後の生活や自立のためという正当な理由で保護費を受給することは、恥ずかしいことではありません。
まずは、生活保護が悪いものだという概念を捨てて、
本当に自分に必要なものであれば、申請を検討してみましょう。
具体的にどうしたらいいの?
生活保護費受給のために必要な手続きの流れ
ここで、保護費受給のために行う手続きの流れを解説していきます。
①相談
生活保護は、どんなに生活に困っていても、自ら申請をしなければ受給することができません。
まずは居住地域を所管する福祉事務所に行き、生活保護担当者に相談をしてみましょう。
このとき、生活保護制度について担当者から説明をしてもらえます。
相談の際に特別用意する書類はありませんが、
収入や支出、預金などの資産について把握しておくと、相談がより円滑に行えます。
ここで大切なのは、
「どうしても生活保護を受けたい・受けなければならない」
という意思や状況説明を具体的に行うことです。
②申請
相談の際に受け取った生活保護申請書に必要事項を記入し、提出します。
申請後に行われる調査のために、残高を証明できる預金通帳の写しや、離職したことを証明する書類、
また心身に不調があり就労ができない方は病院の診断書など、必要書類の提出が求められることがあります。
③調査
申請後、保護費を受給できるかどうか決定するために、以下のような調査を行います。
・家庭訪問など、生活状況を把握する調査
・預貯金などの資産を確認する調査
・扶養義務者から仕送り等の援助を受けているか確認する調査
・就労収入の調査
・就労が可能か判断する調査
これらは申請した情報に嘘がないか確かめるものです。
調査の結果、申請とは異なる重大な虚偽記載が見つかった場合は、その時点で申請が却下されてしまいます。
当然のことですが申請時に嘘をついてはいけません。
④受給
調査の結果必要と判断されれば、保護費を受給することができます。
原則、申請をした日から14日以内に受給できるか否かが決定されます。
そもそもが生活の困窮に直面している方のための制度なので、
承認されれば迅速に受給することができるように配慮されています。
保護費はいくらもらえるの?
受給中にしなければいけないことは?
世帯や住んでいる地域によって受給できる保護費の額は異なります。
基本的には「最低生活費―収入=保護費」として支給されますが、
住んでいる地域や世帯人数によって最低生活費が異なりますので、福祉事務所の担当者に確認しましょう。
最低生活費として給付を受けられる扶助は、以下の8つが基本です。
①日常生活に必要な食費や光熱費などの生活扶助
②家賃の住宅扶助
③就労に必要な技能習得のための生業扶助
④葬祭費用を支給する葬祭扶助
⑤病院などにかかる医療扶助
⑥出産扶助
⑦就労のために必要な職業訓練などへの生業扶助
⑧介護が必要な方のための介護扶助
他にも引っ越しなどに際して扶助が認められることもあり、
それぞれ定められた基準額を受け取れるのか、実費の支給なのかなども個別に異なりますので、
受給前の相談時に受ける制度説明の際にどの扶助を受けられるか確認しておきましょう。
受給中は、収入の状況を毎月報告する義務があり、
場合によってはケースワーカーの訪問調査を年に数回受ける必要もあります。
さらに、就労の可能性があると判断された場合は上記⑦の扶助を受けられる他に、
就労のための助言や指導を受けることになります。
これらは生活保護受給者の義務ですので、必ず従いましょう。
生活保護は、生活が苦しい人々を救う最後のセーフティネットと言われています。
自分が受給することに罪の意識を感じる必要はありません。
最大限の努力をしても生活が苦しければ、自分・家族だけで悩まず、
まずは福祉事務所に相談してみましょう。