住民税は、道府県民税と市町村民税を合わせて呼ぶ税で、その年の1月1日現在で居住している場所で課税されます。
扶養している親族がいて、その親族が条件を満たしていれば、住民税の扶養控除を受けて節税をすることができるのです。
今回は、住民税の扶養控除について詳しく解説していきます!
住民税の扶養控除の対象になる親族って、誰のこと?
まず、扶養控除の対象となる扶養親族は、その年の12月31日時点で次のすべてを満たしている方のことをいいます。
・配偶者以外の16歳以上の親族や里子、市町村長から用語を委託されている老人
・納税者と生計を一にしている
・前年の合計所得金額が38万円以下
・青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でない
また、上のすべてを満たす扶養親族の中で、年齢によって以下のように分類されます。
・一般の扶養親族:16歳以上19歳未満および23歳以上70歳未満
・特定扶養親族:19歳以上23歳未満
・老人扶養親族:70歳以上
・同居老親等:同居している老人扶養親族
それぞれ扶養控除額が以下の表1のように異なります。(2017年3月20日時点)
(表1:住民税の扶養控除額)
扶養控除の種類 | 住民税の扶養控除額 |
扶養控除 | 330,000円 |
特定扶養控除 | 450,000円 |
老人扶養控除 | 380,000円 |
同居老親等扶養控除 | 450,000円 |
住民税は、前年の所得金額から表1の扶養控除額を引いて、税率(全国一律10%)をかけることで算出できます。
ちなみに、配偶者には別途配偶者控除というものが適用されますので、配偶者は扶養控除を受けられる親族には該当しません。
該当する扶養親族がいる方は、表1の扶養控除額を適用することで納める税金の負担が軽くなりますので、覚えておいてください。
扶養控除額はどうやって引かれるの?住民税の算出方法
扶養控除額が税金からどのように引かれるかを説明する前に、まずは住民税の仕組みについてお話したいと思います。
住民税は、納税義務のある国民に同じ額を課す均等割額と、前年の所得額に応じて算出される所得割額を足すことで算出することができます。
まず、均等割額は所得の額に関わらず、市民税が3,500円、都道府県民税が1,500円となっています。
平成25年から10年間は、東日本大震災からの復興・防災用の財源確保のために税率が500円引き上げられています。
一方、所得割額は前年の所得金額によって計算されますが、ここで先ほど紹介した扶養控除などの控除額が関わってきます。
住民税の所得割額は、以下のように算出されます。
(前年の所得金額-所得控除額)×税率-税額控除額
扶養控除は所得控除の一種ですので、前年の所得金額から差し引くことで住民税額を減少させることができるのです。
住民税は以上のように算出されますが、専業主婦や学生など所得のない方や、生活保護を受給している方、所得が一定以下の方などは非課税になるケースもあります。
住民税・所得税の「扶養控除額」と「所得年度」の違いに注目!
住民税と所得税は、どちらも所得額から計算するため混同してしまいやすいですが、全く異なるものです。
まず扶養控除額がどれだけ違うのかを以下の表2にまとめましたので、見ていきましょう(2017年3月20日時点)。
(表2:住民税と所得税の扶養控除額)
扶養控除の種類 | 住民税の扶養控除額 | 所得税の扶養控除額 |
扶養控除 | 330,000円 | 380,000円 |
特定扶養控除 | 450,000円 | 630,000円 |
老人扶養控除 | 380,000円 | 480,000円 |
同居老親等扶養控除 | 450,000円 | 580,000円 |
表2からわかるように、住民税よりも所得税の控除額の方が大きいのです。
そのため、計算した結果「所得税はゼロになったけれど、住民税は払う必要がある」ということもあり得ます。
「所得税がゼロになった=住民税もゼロになる」と安易に考えないようにしましょう。
また、この扶養控除額を用いて税額を算出する方法にも違いがあります。
それは、いつの所得に対してかかるかということです。
住民税は前年の所得に対してかかりますが、所得税はその年の所得に対してかかることになります。
住民税や所得税を自分で計算する場合は、所得の年度を間違えるケースが多いため、気をつけましょう。
会社に所属していると、住民税や所得税についてあまり意識しなくても生活していけるかもしれません。
しかし、今回紹介したように、扶養控除などの特別な控除を受けられる場合は、積極的に利用して節税をしたいところです。
扶養親族がいるという方は、この機会に住民税の扶養控除について理解してみてはいかがでしょうか?