生活保護を受けている場合、毎月の生活費を保証してもらえるだけでなく、税金面や社会保障に関する様々な支払いにおいても優遇措置が取られることとなっています。
社会保障に関する、最も大きな支払いの一つであり、毎月支払う必要があるものとしては、年金が挙げられますが、生活保護を受けている場合には年金の支払いはしなくても良いのでしょうか。
生活保護を受けている場合、年金の支払いや将来における年金受取がどうなるのか、といったことについて、解説をおこなっていきます。
生活保護を受けている場合の年金支払はどうなっているの?
まず結論から端的に述べますと、生活保護を受けている場合には年金は支払わなくても可とされており、基本的には支払いは全額免除されることとなります。
年金は経済的な理由などで毎月の保険料を支払うことができない場合、手続きを行うことで保険料を免除してもらうことができます。
免除の対象になるのは、世帯の所得が一定金額以下の場合や失業した場合、大規模な自然災害などに遭ってしまった場合などと並んで、生活保護を受けている場合も対象となります。
生活保護を受けている場合、原則保険料は全額免除され、免除されている期間中は受給資格期間に加算されるだけでなく、老齢基礎年金の年金額を収めた期間としても加算がされるので、将来的に年金を受け取ることも出来るのです。
なお、全額免除に関しては、生活保護の受給者となっただけで自動的に免除が開始されるわけではなく、所定の手続きが必要という点に注意が必要となります。
もしも免除申請の手続きを行わないまま保険料を納付せずに放置した場合、その期間については受給資格期間や年金額への加算がされない未納期間となってしまうため、生活保護の受給資格を得た場合には直ちに年金の免除申請も行うようにしましょう。
免除申請の具体的な手続きについてですが、自身の住民票登録をしている市町村の役場へ出向き、国民年金の窓口で手続きを行えるようになっています。
申請の方法については役場で教えてもらうことができますし、申請用紙についても役場に備え付けてあるので、身分証明書や年金手帳、印鑑を持って来店すると良いでしょう。
また申請用紙は日本年金機構の公式サイトからダウンロードすることもでき、郵送で免除申請の手続きを行うこともできます。
役場へ足を運ぶことが難しいという場合には、郵送で手続きを行いましょう。
生活保護で全額免除をしてもらった場合、将来貰える年金額はどうなるの?
生活保護を受けている場合には、手続きを取ることで、年金保険料の支払いが免除となることについてはよくお分かりいただけたかと思います。
続いては、全額免除をしてもらった場合、将来受け取ることのできる年金額はどうなるのか、といった事などについて解説をおこなっていきます。
結論を最初に申し上げますと、年金を全額免除してもらった期間については、半額分の保険料を収めた期間として計算がされるため、きちんと年金を収めた場合と比較すると、将来受け取ることのできる年金額については少なくなります。
現在の年金の仕組みでは、半分が国民による負担、もう半分が国庫による負担となっています。
全額免除を受けた場合、国庫負担分の半額についてはきっちり反映される一方で、国民負担分(自己負担分)の保険料については支払いをしていないということもあって、反映はされないのです。
そのためすべての保険料納付期間を全額免除してもらった場合、免除などは一切なく全額をきちんと収めた人と比較すると、将来貰える年金額は半額となります。
全額免除を受けた場合、年金保険料を支払う必要がなくなるので、良いことづくしのように感じられますが、将来貰える年金額も減ってしまうリスクが有るということもしっかり肝に銘じておくようにしましょう。
一方で、全額免除を受けた場合でも将来貰える年金額を満額にする救済措置も実は設けられていています。
生活に余裕ができた時に、全額免除をしてもらっていた期間(生活保護を受けていた期間)の保険料の追納をすることで、将来貰える年金額を増やすことが出来るのです。
全額免除を受けていた期間すべての年金保険料について追納を行えば、将来貰える年金額についても満額とすることが出来るので、将来に対するリスク・ヘッジのためにも、生活にゆとりができた際には、積極的に追納をすることをおすすめします。
なお、追納については無期限に出来るわけではなく、追納が承認されてから10年以内に追納を行う必要があります。
また全額免除を受けた後、3年後以降に追納を行った場合には、加算額が上乗せされた保険料を支払う必要があるので、追納を行う場合には、できるだけ早く行うようにすると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
生活保護を受けている場合には、しっかり手続きを行えば年金保険料の支払いについては免除されることや、全額免除を受けた場合でも将来きちんと年金受取が出来ることについて、よくおわかりいただけたかと思います。
年金の免除については、自動的に行われるわけではないので、生活保護を受けるようになった場合には、忘れずに免除申請を行うようにしましょう。