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法人税の税率とは?計算法・節税対策から最新の税改正までを総まとめ


法人税は主に営利目的の法人として事業をする上で必ず知っておかなければならないもので、会社が得た利益に対してかけられる税金です。

個人で言うところの所得税にあたる税金ですが、日常ではなかなか馴染みの薄いものですよね。

これから会社を興そうという方・興味がある方に、法人税について税率、計算方法、節税対策や最新の税改正などをまとめて解説していきます。

 

税率はどのくらい? ポイントは法人に関する3つの要素

「3つの要素」のイメージ

 

法人税の税率は、「法人の種類」「資本金」「所得」の3つの組み合わせによって、固定の税率が定められています。

 

まずはそれぞれの項目について、どのように区分けされるかを見てみましょう。

◆法人の種類

法人は5つの種類に分類され、更にそこから課税対象・条件付き課税対象・非課税の3つに区分けされます。

以下はその分類を表にしたものです。

法人の種類 概要 課税の対象
普通法人 株式会社、有限会社、医療法人など 課税対象
人格のない社団 同窓会、PTAなど 収益がある場合のみ課税
公益法人 宗教法人、学校法人など 収益がある場合のみ課税

 

◆資本金

資本金は1億円を超えるか否かで、大きく区分けが行われます。

ただしこれは普通法人の場合のみで、それ以外の法人については、資本金による税率の変動はありません。

 

◆所得

所得は、年間の事業所得が800万円を超えるか否かで区分けされます。

事業年度が1年未満の場合は、800万円×事業年度の月数÷12という計算で、所得が800万円超になるかを判定します。

 

これらの要素による具体的な組み合わせを、以下の表にまとめました。

法人の種類 資本金 所得 税率
普通法人
1億円超 23.4%
1億円以下
800万円超 19%
800万円以下 15%
人格のない社団
公益法人
協同組合
 
800万円超 19%
800万円以下 15%
公共法人 非課税

(2017年4月11日現在)

こうして見ると、組み合わせのパターンとしてはそれほど多くないことが分かります。

 

法人税は、所得にこの税率をかけて求めます。

例として「資本金2億円の普通法人」のケースを見てみましょう。

 

・所得700万円の場合

700万円×19%=133万円

・所得900万円の場合

900万円×23.4%=210.6万円

 

税率20%前後というのは、日本の税金の中でもかなりの高負担です。

 

特に所得800万円のラインを少しでも超えると、4.4%も税率が上がってしまうので、事業主はできるならそれ以下のラインに抑えておきたいでしょう。

 

そこで次の章では、節税対策についてご紹介しましょう。

 

そもそも「所得」とは何を指しているのか? 

節税のコツ3つとは?

「所得」のイメージ

 

法人税は所得に対して課税されるものですが、この「所得」は単純に会社の利益のことを指しているわけではありません。

益金(課税対象となる儲け)-損金(経費やビルの家賃などの経費)=所得」ということです。

 

つまり、

「消耗品を購入するなどして損金を増やす」

→「所得として計上される額が減る」

→「所得が減るのに連動して法人税も減る」

というような節税方法が成り立つわけです。

 

しかし、物品の購入は確かに税金を減らすことはできますが、余分な現金支出も増えるので、節税対策としてはイマイチです。

 

そこで、それ以外の方法による節税対策について、いくつかご紹介しましょう。

 

・未払い費用、短期前払い費用を年度内に損金として計上する

「未払い費用」とは、通信費や光熱費など翌月以降に後払いする支払いです。

年度末に発生した場合、本来は翌年に損金計上されますが、先に払えばその年度の損金として計上できます。

「短期前払い費用」はその逆で、例えばビルの家賃などを1年分先払いすれば、その費用を前年度に損金計上できるというものです。

 

・出張費を規定する

社員の出張が多い会社の場合、出張旅費規程を定めることで、その費用を経費として損金計上することができるようになります。

これは従業員にとっても非常にメリットがありますので、特におすすめの方法と言えます。

 

・決算セールを行う

小売店などの場合、売れ残った商品を「決算セール」などと銘打って売り出すことで、原価との差額の赤字分を「売却損」として損金計上することができます。

それでも売れ残り、廃棄した商品も「廃棄損」として損金計上できます。

中には意外な節税方法も。

急ぎで行う駆け込み的な方法と意外な方法

決算月を利用するイメージ

 

長く事業を続けていれば、経営が苦しく、少しでも税金を減らしたい年度もあるかと思います。

そんなときには一時的にでも損金を計上し、課税のタイミングを先延ばしにするのも一つの手です。

ここではそんな駆け込み的な方法と、意外な方法をご紹介します。

 

・中小企業倒産防止共済に加入する

中小企業倒産防止共済とは、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための共済です。

掛け金は月々5000円から20万円で、これは全て損金に計上できます。

もちろんこの支払いには現金が必要ですが、解約時に手当金を受け取ることも出来るので、結果として損にはなりません。

ただし、この解約手当金は益金としてカウントされるため、他の節税対策を入念にしてから受け取るようにしなければいけません。

 

・法人保険に加入する

法人保険の中には、保険料の一部、あるいは全額を損金に計上できるものがあります。

解約時の払い戻しを受けることができたり、保険金の受け取りをすることができますが、これらは益金として計上されますので、前述の中小企業倒産防止共済と同じように、受取のタイミングには注意しなければなりません。

 

・事業年度が繁忙期から始まるようにする

こちらは直接の節税対策ではありませんが、意外な盲点的方法です。

事業年度末に繁忙期がある会社も多いかと思いますが、その繁忙期を、事業年度の最初になるよう設定したとします。

年始に多くの益金と損金を計上しておけば、決算月までの期間を節税対策の時間として充てることができるのです。

決算期の変更は一度行ってしまえば、その後ずっと同じスパンでの節税対策が可能です。

会社によっては非常に効果が見込める方法ですね。

 

最新の税改正はどうなる? 平成29年・30年の税制度

 

財務省では毎年、税制度の改正大綱を発表しています。

平成29年度の法人税はどのように変わったのでしょうか?

また、平成30年以降、既に決まっている変更点はあるのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

 

◆平成29年度のについて

改正された点はいくつかありますが、その中でも特に税率に関する点を特筆してみましょう。

 

・中小企業者企業者等の法人税率の特例

年間所得が800万円以下の中小企業の場合、本来の税率は19%のところ、平成24年4月1日から平成29年3月31日までは、15%に軽減されていました。

その期間を2年間延長し、平成30年の年度末まで適用するよう改正が行われました。

 

・大企業並みの規模を持つ中小企業に対する要件見直し

資本金1億円以下の企業は中小企業として定義されますが、3年間の平均所得が15億円以内の場合は、中小企業関係租税特別措置の対象外とすることが決まりました。

実質的に大企業なみの経営力を持つ企業に対し、課税を強化しようというわけですね。

この措置は、平成31年4月1日以降に開始する事業年度から適用されます。

 

◆平成30年度の法人税について

現状、普通法人のうち資本金1億円超の企業の税率は、前章でご紹介した通り23.4%と定められています。

この税率は平成28年度の税改正によって定められたものですが、その時点で、平成30年度からは23.2%へ引き下げられることが決定されています。

 

法人税は平成11年に税率30%として定められた後、13年もの間変化がありませんでした。

しかし平成24年に25.5%に引き下げられた後、僅か6年で3回もの引き下げが行われます。

ここ近年でも、活発な動きのある制度の一つと言えるので、支払う立場の方は各回の改正に目を光らせておく必要がありますね。

 







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