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配偶者の合計所得が38万円(年収103万円)を超えてしまうと、年末調整で配偶者控除を受けられなくなってしまうため、税金が高くなってしまうとお困りの方はいらっしゃいますか?
そんな方のために、配偶者控除対象者よりも年収の高い配偶者の所得に応じて一定額の控除を受けられる「配偶者特別控除」があります。
配偶者特別控除を受けるための条件は?細かいポイントもチェック!
配偶者特別控除を受けるには、以下の条件全てを満たしている必要があります。
2 配偶者特別控除を受けるための要件
(1) 控除を受ける人のその年における合計所得金額が1千万円以下であること。
(2) 配偶者が、次の五つの要件全てに当てはまること。
イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。
ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
ニ 他の人の扶養親族となっていないこと。
ホ 年間の合計所得金額が38万円超76万円未満であること。
(厚生労働省HPより https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1195.htm)
(1)は配偶者ではなく、控除を受ける本人に関する条件です。所得の合計金額が1千万円以下であれば、配偶者特別控除の対象になります。
(イ)「民法の規定による配偶者」というのは、婚姻届を提出した正式な婚姻関係であるということです。
そのため、内縁の妻や夫は、配偶者特別控除の対象にはなりません。
(ロ)「生計を一にしている」とは、必ずしも同居していなければならないというわけではありません。
勤務などの都合で別居している場合でも、生活費や学資金等の送金が常に行われている場合などは、生計を一にしている配偶者と認められます。
(ハ)家族の個人事業を手伝う従業員のことを専従者と呼ぶのですが、配偶者が控除を受ける本人の個人事業を手伝っている専従者である場合、配偶者特別控除の対象になりません。
(ニ)配偶者が他の人の扶養親族となっている場合は、配偶者特別控除の対象になりません。
(ホ)年間合計所得金額が38万円以下または76万円以上の場合は、配偶者特別控除の対象になりません。
合計所得金額ごとの控除額については、後述します。
配偶者特別控除の控除額は?年収から合計所得金額を算出!
配偶者特別控除の控除額は、配偶者の合計所得金額によって以下表のようになります。
3 配偶者特別控除の控除額
控除額は、配偶者の合計所得金額に応じて次の表のようになります。
配偶者の合計所得金額 配偶者特別控除の控除額 38万円を超え40万円未満 38万円 40万円以上45万円未満 36万円 45万円以上50万円未満 31万円 50万円以上55万円未満 26万円 55万円以上60万円未満 21万円 60万円以上65万円未満 16万円 65万円以上70万円未満 11万円 70万円以上75万円未満 6万円 75万円以上76万円未満 3万円 76万円以上 0円
合計所得金額は、年収から給与所得控除額(年収141万円以下の場合、65万円)を引くことで算出されます。
例えば、配偶者の年収が130万円の場合、130万円―65万円=65万円が合計所得金額になります。
言い換えると、表1左の配偶者の合計所得金額に、65万円を足すことで、配偶者特別控除を受けられる年収を算出することができます。
自身の配偶者が対象になるかどうかは、年収から合計所得金額を計算してみるとわかりやすいでしょう。
ちなみに、年末調整の時期になると「103万円の壁」という言葉を聞くことがあります。
これは、主婦の方などがパートやアルバイトとして年収103万円以内で働くと、所得税を支払わなくて良い上に、配偶者控除が受けられることから作られた言葉です。
これは配偶者特別控除の場合、「141万円の壁」と呼ぶことになります。
これは、控除を受けられる最大の合計所得金額76万円に給与所得控除額65万円を加えた141万円が、控除を受けられる最大年収ということになるからです。
配偶者特別控除を希望する方は、年収141万円までで働くようにしましょう。
配偶者特別控除の申請方法は?添付書類が必要になるのはどんなとき?
配偶者特別控除の適用対象だった場合、配偶者特別控除申告書を勤務先に提出する必要があります。
正確には、配偶者特別控除用の単独の申告書は存在しないため、「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」の該当欄に記載して提出することとなります。
合計所得金額など必要事項を記載し、勤務先に提出しましょう。
また、平成28年分から、国外に居住している配偶者について配偶者特別控除を受ける場合は、以下の書類を提出または提示しなければならないことになりました。
①控除を受ける本人の配偶者であることが確認できる書類
具体的には、戸籍の附票の写しなどの国または地方公共団体が発行した書類、およびその国外居住配偶者の旅券の写しなどです。
②控除を受ける本人が配偶者の生活費などに充てるための支払いを行ったことがわかる書類
例えば、送金依頼書やクレジットカードの利用明細書などです。
以上の書類の提出または提示が必要な場合は、年末調整の時期に慌てないよう、事前に準備しておきましょう。
配偶者特別控除は、配偶者控除対象者よりも年収が高い方にも適用されます。配偶者が特別控除の対象である場合は、きちんと申請をして、賢く節税をしましょう。