親戚などから金銭や不動産などを譲り受けた場合、この金額が高額である場合には贈与税という税金の納税義務が生じることとなるわけですが、世の中の多くの人は具体的にどのくらいの金額を受け取った場合に納税義務が生じるのかについて、しっかり把握していないものと見られます。
贈与税には多くの非課税措置が儲けられているので、日常生活を送っている分には、納税義務が生じるケースは少ないと考えられるのですが、贈与税が非課税となるケースとは具体的にはどのようなものなのでしょうか。
節税のためのおすすめの方法とともに紹介をしていきたいと思います。
贈与を受けたのに贈与税がかからないのはどんなケース?!
まずは、贈与税が非課税となるケースについて、詳しく紹介をおこなっていきます。
贈与税が非課税となるケースとしてまず挙げられるのが、一人の人が受け取った金銭などの合計額が年間110万円以下というケースになります。
贈与税には110万円の基礎控除があり、一年間に受けた贈与の合計額が110万円まであれば、納税の義務は全く発生しないとされているのです。
この基礎控除は贈与税を考える上で最も基本的かつ重要な非課税枠と考えられるので、しっかりと覚えておくと良いでしょう。
また贈与税には基礎控除の他にも、一定の条件を満たして贈与をした場合・受けた場合には一年間の贈与金額の合計額が110万円を超えた場合でも非課税となる特例の非課税枠がいくつも設けられています。
特例の非課税枠について具体的に紹介しますと、
・婚姻期間が20年以上の夫婦間で2000万円以内の住居用不動産若しくは住居用不動産の取得費用の贈与が非課税となる配偶者控除
・2500万円までの生前贈与が非課税となる相続時精算課税制度
・父母や祖父母から20歳以上の子どもや孫に対して住宅取得のための最大1200万円の資金の贈与が非課税となる住宅取得資金の贈与(平成31年6月30日までの限定措置)
・祖父母から30歳までの子どもや孫に対して教育に係る資金の贈与が子ども一人につき最大1500万円まで非課税となる教育資金の一括贈与(平成31年3月31日までの限定措置)
・父母や祖父母から20歳から50歳までの子どもや孫に対して結婚や子育てに係る資金の贈与が最大1000万円まで非課税となる結婚・子育ての一括贈与(平成31年3月31日までの限定措置)
以上が代表的な特別非課税枠となります。
基礎控除に加えて、これらの非課税枠をうまく活用することができれば、まとまったお金を贈与された場合でも全く税金を支払う必要がなくなるので、適切に制度を活用したいですね。
節税のためのおすすめのテクニックって?!
贈与税の基礎控除や特別な非課税枠についての紹介が済んだところで、続いてはこれらの制度を利用したおすすめの節税テクニックについて紹介をしていきたいと思います。
特に高い節税効果を期待できるテクニックとして紹介したいのが、基礎控除や特別非課税枠を活用した相続税対策となります。
相続税には、3000万円+600万円×法定相続人数という基礎控除枠が設けられています(法定相続人が一人の場合は3600万円、二人の場合は4200万円)。
この基礎控除枠の範囲以内であれば相続税は発生しないのですが、相続財産がこれを上回る場合には高額の相続税がかかってしまうわけなのですが、贈与税の基礎控除と特別非課税枠を利用することで、相続税の節税を図ることができるのです。
例えば相続時精算課税制度を利用して生前贈与を行なっておくことで、うまくいけば相続税を全く無くす事もできますし、課税対象金額を減らすことができます。
また時間はかかりますが、基礎控除枠を利用して法定相続人に毎年110万円づつ生前贈与を行なっておき、遺産を相続税の基礎控除枠以内に抑えておけば、相続税を全くのゼロとすることも出来るのです。
この他にも住宅取得資金の贈与や教育資金の一括贈与などを利用して子どもや孫に生前贈与を行なっておけば、手間を掛けずに相続税の節税が可能となっています。
遺産が多くあり、相続税がかかってしまう可能性が高いという場合には、贈与税の非買税枠を利用して生前贈与を行なっておくことで、高い節税効果が期待できるというわけなのです。
まとめ
いかがでしたか。
贈与税における非課税枠は具体的にどうなっているのかということや、非課税枠を利用したおすすめのテクニック等についておわかりいただけたでしょうか。
贈与税はもともとは相続税を補完する性質を持っているということもあり、両者を組み合わせて使うことは非常に合理的であると言っても言い過ぎではないのです。
相続税の税率は他の税金と比較すると非常に高く設定されています。
贈与税の非課税枠をうまく活用して、納める税金をできるだけ少なくしたいものですね。