所得税や住民税を決定する上では、一年間にどのくらいの収入があり、そこから必要な経費や支払った経費などを差し引いた所得が幾らだったのかということを正確に算出することが重要となります。
一般的なサラリーマンであれば、会社の年末調整によって正確に所得の算出をしてもらえるので、確定申告の必要がありませんが、会社を退職した後は基本的には自分で算出する必要があります。
またサラリーマンであっても、義務ではないものの、確定申告を行うことで所得税や住民税の控除を受けることが出来る所得控除というのが幾つもあります。
確定申告を行う上でぜひとも知っておきたい所得控除について解説を行なっていきます。
会社員ならぜひとも知っておきたい所得控除って?!
まずは会社で年末調整をしてもらえるサラリーマンがぜひとも知っておきたい所得控除について紹介をおこなっていきます。
確定申告をすることで所得控除を受けることが出来るものには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
・住宅ローン控除
義務ではないものの、サラリーマンが確定申告を行うことで節税ができる控除として最も代表的なものの一つが住宅ローン控除です。
住宅ローン控除はサラリーマンの住宅取得を促す目的で制定された控除制度であり、新築で住宅を購入した場合はもちろん、中古物件を購入した場合やすでに保有している住宅をリフォームした場合も制度は適用できます。
控除額については、仮に現在(平成29年5月)に新築住宅を住宅ローンを組んで購入した場合、年末時の住宅ローン残高×1%という計算式で算出され、この控除を10年間受けることができます。
住宅ローン控除を受けるためには、一定の要件を満たして住宅ローンを組む必要があるのですが、その点に関しては住宅ローンを組む際に金融機関の担当職員が丁寧に教えてくれると考えられるので、融資担当職員とよく相談をして、最もオトクな条件で住宅ローンを組むようにしましょう。
なお、住宅ローン控除で確定申告が必須なのは1年目だけであり、2年目以降は年末調整の際の手続きだけでOKとなるので、1年目に忘れずに手続きを行っておきましょう。
・寄付金控除
寄付金控除は国や地方公共団体、学校や公益法人、認定NPO法人などに対して寄付を行った場合、寄附金額に応じて所得税や住民税を控除するというタイプの控除となります。
最近メディアなどで話題になっている「ふるさと納税」も寄付金控除に該当し、ふるさと納税を行えば御礼の品が貰えるだけでなく、確定申告を行うことで節税効果を得ることも出来るのです。
対象の団体や法人に大して寄付を行った場合、原則寄付を行ったことを証明する書類が発行されることとなっています。
控除を受けるためには、この証明書類が必要不可欠となるので、発行を受けた寄付の証明書類は大切に保管しておきましょう。
やや見落としがちな抑えておきたい所得控除って?!
住宅ローン控除やふるさと納税などの寄付金控除ほど有名ではないものの、サラリーマンが節税のためにぜひとも抑えておきたい所得控除はまだ多くあります。
やや見落としがちではあるものの、ぜひとも抑えておきたい所得控除についてみていきましょう。
・医療費控除
医療費控除は1年間でかかった医療費が10万円を超えた場合、その超過分を控除できるという制度となっています。
確定申告をする人の医療費だけでなく、配偶者や子ども等、生計をともにしている家族の合計金額が10万円を超えれば制度利用の対象となるので、医療機関の窓口で発行される領収書は処分せずに大切に保管しておくと良いでしょう。
但し、窓口で支払った医療費の合計額が10万円絵を超えている場合でも、傷害保険や生命保険に加入していて保険会社から保険金を受け取ったという場合や、高額医療費制度を利用して医療費の給付を受けたという場合には、それらの給付金を差し引いて計算をしなければなりません。
加えて医療費控除の対象となるのは「医療費」として支払った代金のみであり、医療機関の窓口での支払い全てが医療費控除に当てはまるわけでないという点に注意をする必要があります。
例えば歯科医院で虫歯の治療で支払った代金については、医療費控除の対象となるのですが、ホワイトニングで支払った代金については「医療費」に該当しないため医療費控除の対象とはならないのです。
・特定支出控除
特定支出控除とは、簡単に言ってしまえば、サラリーマンのための必要経費と言い換えることができます。
個人事業主の場合、事業のために支払った代金については経費として計上し、節税ができます。
サラリーマンも仕事のために自分自身で代金の支払いをすることがあると考えられる訳ですが、その支払いついては経費(特定支出)として計上し、所得から差し引くことが出来る、これが特定支出控除の大まなか内容となっています。
特定支出控除として認められる代表的な支出としては、職務上必要な資格を取得するかかった費用や転勤の際にかかった引越し費用、通勤費や業務で使用するために購入したスーツ代や書籍代等が挙げられます。
これらの費用(特定支出)が給与所得控除の半分を超過した場合、その超過分を特定支出控除として控除できるようになっています。
マイナーだけれど知っておきたい所得控除って?!
最後に、サラリーマンが利用できる所得控除としてはマイナーではあるものの、知っておきたい所得控除について紹介をしていきます。
・雑損控除
雑損控除は自然災害や盗難などに遭ってしまった場合に利用可能な控除制度であり、災害額のうちの一定の金額を所得から差し引くことができるようになっています。
台風や地震や津波といった自然災害や盗難や横領などの被害、動物や害虫などによる被害や火事等の人的災害が対象となっており、医療費控除と同様に給付金があった場合には災害金額から給付された金額を差し引いて控除額を決定することとなっています。
大きな災害に見舞われてしまった際などには、忘れずに確定申告を行いましょう。
・繰越控除
株やFXをやっており、もしも損失を出してしまったという場合には、確定申告を行うことで翌年以降に利益が出た時に、その利益にかかる税金を節税することができます。
株やFXで損失を出した場合、確定申告の義務はありませんが、確定申告をすることで翌年以降3年間に出た利益と損失を相殺することができ、これを繰越控除といいます。
損失を出してしまった翌年も再び損失を出してしまった場合、再び確定申告を行うことでさらに3年間利益と損失の相殺が可能となります。
副業として株やFXを行っているサラリーマンであれば、例え損失を出してしまった場合でも、忘れずに確定申告をしておきたいものですね。
まとめ
いかがでしたか。
サラリーマンであればぜひ知っておきたい所得控除にはどのようなものがあるのかということや、その概要はどうなっているのかということについて、ご理解いただけたでしょうか。
サラリーマンであれば、会社で年末調整があるということで、確定申告に対して無頓着であることが多くなっています。
しかし、確定申告を行うことのメリットや所得控除についてよく理解し、面倒くさがらずに手続きを行うことで、納める税金を大きく抑えることができるといって大袈裟ではありません。
自身に当てはまる所得控除がある場合、確定申告を行うことを強くお薦めします。