結婚の晩年化が進んだことや、女性の社会進出が進み、女性のライフスタイルが多様化したことが大きく影響し、結婚しても子どもを持たない、という選択をする夫婦は近年では決して少なくはありません。
子どもがいれば、老後に子どもに面倒を見てもらう事ができますし、孫の誕生も期待できるので、比較的安心して老後を迎えられると期待できるわけですが、果たして子どもがいない夫婦には辛い老後が待っているのでしょうか。
決してそのようなことはなく、子どもがいない夫婦の場合、そのことを踏まえてしっかり老後の備えをしておけば、幸せな老後を迎えられると考えられます。
具体的にどのような準備をすれば良いのか、解説をしていきたいと思います。
いくら貯金しておくと安心できる?
夫婦のみで老後を迎えるにあたって、最も重要な準備の一つとして真っ先に挙げられるのが、お金の準備となります。
具体的にはどのくらいの金額を貯めておけばよいのかについて、シミュレーションをしていきましょう。
どのくらいの金額の貯金が必要なのかということは、自宅を保有しているのかということや、どのくらい生きるのかといったことと密に関係をしています。
ここでは、夫婦二人が85歳まで生き、尚且つ自宅は保有している。
さらに夫はサラリーマンで妻は専業主婦であったと仮定します。
60歳で退職し、夫婦共に85歳まで生きるとなると、25年間の老後資金が必要となります。
夫婦二人の1ヶ月あたりの生活費を20万円と仮定すると、1年間の生活費が240万円、それが25年間続くわけですから、240万円×25年で6000万円の生活費が必要だということがわかります。
このうち、きちんと年金を収めている場合には65歳から年金の支給が始まりますし、夫がサラリーマンだったと仮定しているので、国民年金に加えて厚生年金も支給されます。
さらに退職時にはまとまった額の退職金が受け取れると考えられるので、6000万円から退職金額と年金支給額を差し引いた金額が最低限必要な貯金額となります。
仮に国民年金をきちんと収めていた場合、平成29年4月時点での年間の満額支給額は77万9300円となっています。
約78万円の国民年金×2人分×20年と老後に支給される年金額を大雑把に計算しますと、3120万円という金額が支給されることがわかります。
また退職時に夫が退職金として2000万円を受け取っていたと仮定すると、国民年金の支給額と退職時額との合計で5120万円となり、これに厚生年金を合わせれば目標の6000万円という額はほぼ達成できていると考えられます。
病気や事故、自宅の補修や自動車の買い替えなどの出費に備えると、60歳を迎えるまでにおよそ1000万円の貯金を作っておけば安心だといえるでしょう。
介護付き老人ホームの情報収集
貯金を作っておくことと同等以上に重要となるのが、老人ホームの情報収集となります。
高齢になると日常生活を送ることさえ困難になってしまう可能性が考えられますし、夫婦ともに介護が必要となった場合にはどうしても若い人の力が必要となります。
介護の専門家が常駐している介護付き老人ホームなら老後でも安心して過ごせる可能性が高いので、自宅の近くにホームはあるのか、入所の条件はどうなっているのか、混み具合はどうなっているのか、毎月の利用料はどうなっているのか、等の情報はできるだけ早めにキャッチしておくように心がけましょう。
ひとえに介護付き老人ホームと言っても入所の基準や入所の難易度は、実はホームによってまちまちとなっています。
自分たちが希望するホームにはどうやったら入所できるのかということを早めに考えておけば、いざ入所が必要となった時にスムーズに入所できて、慌てずに済む可能性が高くなるのです。
共通の話題が大切!ペットを飼うのもおすすめ
退職後には現役時代と比較すると、一日のうちで夫婦二人で過ごす時間というのは圧倒的に長くなります。
60歳で退職し、85歳まで生きると仮定すると、夫婦二人で長時間過ごす日々が25年間続くわけですから、夫婦二人で円満に暮らすためには、共通の趣味や話題を作っておくことも大切になります。
もしも夫婦二人共通の趣味や話題がどうしても作れない、という場合にはペットを飼ってみることをおすすめします。
ペットを飼うことで夫婦共通の話題ができますし、犬などの毎日散歩が必要なペットを飼って夫婦で揃って散歩をすれば、自然と二人の距離も縮まりますし、健康増進効果も期待できます。
またペットを飼うことで心身ともに健康になる、という医学的なデータもあるので、より健やかに老後を過ごせる可能性が高くなるというメリットも有るのです。
パートナーが亡くなった時の財産について考える
もしもパートナーに先立たれてしまった場合、その後の生活をどうするのか、どうなるのかということをシミュレーションをしておくことも、重要な準備の一つとなります。
夫婦二人のみの世帯の場合で配偶者が亡くなった場合、基本的には遺された配偶者が遺産を全額相続することなります。
法定相続人が一人の場合の相続税の基礎控除は現在3600万円となっており、相続額が基礎控除額を超える場合には相続税が発生することとなるので、注意が必要となります。
特に住宅などの不動産を保有している場合、相続額が3600万円を超えてしまう可能性があるので、自宅を保有している場合には名義は夫なのか妻なのかを確認し、預金口座の残高と照らし合わせながら、相続額が3600万円を超えないように調整しておくことをおすすめします。
また、専業主婦だった人が夫に先立たれてしまった場合、夫の国民年金と厚生年金の受け取りができなくなってしまうため、収入が激減してしまうことが懸念されます。
この場合、手続きを行うことで遺族基礎年金や遺族厚生年金の受取が可能となるので、できるだけ早めに手続きを行うようにしましょう。
遺族基礎年金は各市町村の役場の年金担当窓口が、遺族厚生年金は各都道府県の年金事務所が申請窓口となっています。
まとめ
いかがでしたか。
子どもを持たない夫婦が健やかな老後を迎えるためにやっておくべきことについて、具体的にイメージができたでしょうか。
子どもを持たない夫婦は、子どもを持つ夫婦と比較をすると、老後に苦労するリスクが高いと考えられがちですが、しっかり準備をしておくことで安心して老後を迎えることができます。
夫婦二人で仲良く、安心して老後を迎えるためにも、現役で働いている時に出来る限りの準備をしておきたいものですね。