ローン契約を結び、金融機関からお金を借りる場合、多くのケースにおいて、保証人や連帯保証人といった人的補償が必要となります。
例えば、学生が学生生活を送るために借りる奨学金でさえ、連帯保証人が必要となっており、保証人や連帯保証人が不要という場合には担保が必要となっているケースが多くなっています。
最も自由度が高く、多くの人が便利に利用しているローンであるカードローンは、契約の際に担保が不要となっていますし、保証人や連帯保証人も不要での契約が可能です。
なぜカードローンは連帯保証人なしで契約できるのでしょうか。
徹底解説を行っていきます。
カードローンは会社が利用者の保証をしてくれる?仕組みを解説!
連帯保証人なしでカードローン契約ができる、基本的な仕組みについて、まずは解説を行っていきます。
ローン商品には、契約の際に担保が必要となる有担保ローンと担保が不要である無担保ローンとがあります。
カードローンは無担保ローンに分類され、契約の際には担保や連帯保証人などが不要で契約できるわけですが、このままではお金を貸す銀行側からすれば、高いリスクを背負って融資をすることになりかねません。
利用者について慎重に審査を行うのはもちろんですが、銀行はさらなるリスク・ヘッジのために保証会社を利用しており、もしも利用者が借りたお金を返さなかった場合には、保証会社が代位弁済をしてくれる仕組みとなっているのです。
三井住友銀行や三菱UFJ銀行、みずほ銀行等の銀行のカードローンの申し込み要件を見てみますと、「保証会社の保証を受けることが出来ること」という要件が記載されています。
銀行の多くは信販会社や消費者金融会社等を傘下としていて、これらの会社を保証会社とすることで、無担保ローンであるカードローンでも、比較的ローリスクでサービスの提供を行っているというわけなのです。
カードローンの貸付金利は他のローンと比べると比較的高めに設定されているケースが多くなっています。
その要因の一つが、保証会社の存在であり、カードローン金利には保証会社に支払う保証料も含まれているため、他のローンよりも高めに設定されているというわけなのです。
注意しなければならない点として挙げられるのが、返済を延滞してしまった場合には、保証会社が代位弁済をしてくれますが、代位弁済をしてもらった場合でも、お金を返さなくても良い、という事にはならず、保証会社に代位弁済してもらった分について、きちんと返さなければならない、ということになります。
保証会社に代位弁済をしてもらう=債務整理、ということにはならない点に、十分留意する必要があります。
なぜ消費者金融会社等が銀行の保証会社になっているの?
大手消費者金融等の会社は銀行カードローンの保証会社となり、もしもの時の代位弁済等をおこなってくれる、ということは先に解説しましたが、そもそも何故大手消費者金融等は銀行の保証会社となっているのでしょうか。
大手消費者金融等が銀行の傘下になり、銀行カードローンの保証会社を引き受けているのには、2010年に改正された貸金業法が大きく関係していると言っても過言ではありません。
2010年6月に、貸金業法が改正され、総量規制のルールが施行されたこと、いわゆる「グレーゾーン金利」と呼ばれていた、金利設定が完全に違法と見されるようになったことにより、貸金業法に基づいてビジネスを展開している消費者金融会社等は大打撃を受けました。
その際に経営危機に陥ってしまった消費者金融会社等は、大手銀行グループの傘下となることで、経営危機を乗り越えることとしたのです。
大手銀行は大企業などへの融資が得意である一方で、個人向けの融資が苦手、という問題を抱えていました。
個人向け融資のプロフェッショナルであると言っても過言では無い、大手消費者金融等を傘下とすることで、個人向けの融資体制を強化すると点において、もちろん銀行にも多くのメリットがありました。
つまり法律の改正によって、貸金業者の多くが経営危機に陥り、生き残るために大手銀行のグループ会社となった。
一方の銀行では以前から強化したかった個人向け融資部門の強化を、貸金業者を傘下とすることで達成できた、という事情があったのです。
まとめ
銀行系カードローンが連帯保証人なし、担保無しでカードローンサービスの提供をできているのは、傘下の企業であり、銀行系カードローンの保証会社でもある大手消費者金融会社等の存在が大きいということがよくわかりました。
万が一の時には保証会社が代位弁済をしてくれるために、銀行は比較的低リスクでお金を貸すことができている、というわけなのです。
なお保証会社に代位弁済をしてもらった場合でも、債務は消えることがなく、保証会社に債権が移るだけなので、もしも延滞してしまった場合には速やかに返済するように心がけましょう。