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銀行や消費者金融でおまとめローンの契約をしたとします。もし多重債務に苦しんでいる方ならば、
おまとめローンを組んだだけで金銭的に大きく楽にはならないでしょう。
おまとめローンでは金利を下げることはできても借り入れ残高を下げることはできないので、
残念ながら多重債務⇒多額債務に変わるだけになります。
金利低下・毎月返済額の減少を勝ち得ても、結局返済できない方もめずらしくはありません。
では、もしこのとき返済を一切無視しているとどうなるのでしょうか?
第一段階(一週間ほど無視)
電話が頻繁にかけられ、督促状が届く。
延滞をしたまま無視をして一週間が過ぎる頃には電話が毎日のようにかけられるでしょう。
申請してある電話番号が携帯電話だけであれば本人しか出ないでしょうが、
家族共有の固定電話を連絡先として申請していた場合はどうでしょうか?
例えば「◯◯社ですがおたくの旦那さんに300万円の借り入れがありまして…」などと家族に話されることはありません。
「借り入れの事実を第三者に知らせてはならない」(貸金業法・個人情報保護法)という規則があるためです。
しかし、結局は同居家族には督促状によって知られてしまうでしょう。
上記法律によって書類は「親展」で送られますが、
例え内容を読まなくても「消費者金融◯◯」「督促状」などと表に書かれていれば、
内容を知らされているのとほとんど同じですよね。
では勤務先に電話は行くのでしょうか? 自営業・専業主婦の方などでなければ当然気になるでしょう。
これについては法律があいまいで貸金業法では「正当な理由があれば電話をしてよい」とされており、
貸金業法適用外である銀行もこれに倣っています。
ここで「勤務先への電話は正当な理由に当たらないのでは?」と考える方も多いでしょうが、
例えば携帯に電話を繰り返ししていて留守電にメッセージも残してあり、督促状を何通送っても無視
…という状況では「本人と連絡の取りようがないので、仕方なく勤務先へ電話する」方が「正当」と見なされています。
先ほど「第三者に…」という法律を紹介した通り、もちろん勤務先の第三者に内容を話すことはありませんが、
今までかかってこなかった電話が頻繁にかけられるということで、職場の人間に不信感を持たれる可能性は高いでしょう。
第二段階(数週間ほど無視)
電話・督促状に「自宅訪問」が加わることも。
いくら連絡しても完全に無視していると、「自宅訪問」される可能性があります。
「自宅訪問」というと、ドカドカと取り立て屋が自宅に上がり込み大声で恫喝し、
財産を持っていかれるという映画のようなシーンを頭に描く方も多いでしょうが、
そもそも裁判所の許可がなければ自宅に上がり込むことすら法的には許されていません。
訪問までして金融機関が欲しいものは「誓約書」「返済計画書」です。
「今後期日までに確実に返済します」
という誓約書と毎月の返済額(返済回数)を明記した返済計画書を作成することが目的です。
ただしこの自宅訪問が行われるのは主に地域密着(小規模)の金融機関に多いとされています。
物理的な距離や人件費を計算して、大手はわざわざ自宅訪問しないことが多いのです。
第三段階(数ヶ月ほど無視)
金融機関が法的措置をとる可能性大。
ここまで無視していると、金融機関が裁判所に訴訟の申し立てをする可能性が高くなります。
金融機関が裁判所に申し立て⇒利用者に裁判所から訴状が届く、ことになります。
この訴状には「答弁書」が付随しており、返済に対しての和解案を提示することも可能です。
(例えば元本のみの返済を求める・返済期間延長を求めるなど)
また同時に「口頭弁論」が行われる日時も記されており、出席することが求められます。
つまりこの段階で「裁判所からの呼び出し」まで受けていることになりますが、
答弁書も無視して返送せず、口頭弁論も無視しているとどうなるのでしょうか?
結果は「申し立てた金融機関の言い分が全て通る」ことになります。
答弁書や口頭弁論で何の言い訳・提案もしないで無視するわけですから、当然でしょう。
最終段階(訴訟からさらに2ヶ月ほど無視)
判決が出る⇒「実害」発生
ここで初めて公的に(裁判所から)判決が下されます。
これまでを無視していた場合の結果は言わずもがなですね。
「◯◯万円の支払いを命ずる」というような判決が出るはずです。
ここでのポイントは「命じられても無視はできてしまう」ということです。
あくまで民事裁判なので、「判決に従わなかったから逮捕」というようなことにはなりません。
⇩無視することで金銭的・肉体的な「実害」が起こるのは、意外にも実はやっとここからなのです⇩
裁判で債権を認められた金融機関が裁判所に「財産の差し押さえ」を求め、これが認められると、
①預金口座
②勤務先からの給与の一部(公的支払いを控除した残額の1/4まで)
③不動産
④家財などの動産
などを強制的に差し押さえる権利を得ます。
ここで初めて無視し続けることでの大打撃を負うことになります。
給与の差し押さえは勤務先に通告されて「天引き」されるので、当然知られることになりますし、
預金残高を失い、自動車や住んでいる家も失うことになるかも知れません。
現実にはこれら差し押さえの財産が「どこに」あるのか(勤務先はどこか・どこの預金口座かなど)という調査は、
裁判所が行うのではなく、金融機関が独自に突き止めなければならないので、
裁判費用に重ねてその調査費用までも負担して初めて実現する上に、
実際に差し押さえる財産がなければ「空振り」に終わることもあるので、
「貸し倒れ」として損失計上して諦めてしまう金融機関も多いでしょう。
しかし「だから無視するのが得策」とはとても言えない大きな博打のようなリスクを背負って、
時効までの最長10年を生きようとするのは精神的・肉体的・金銭的全てにおいて到底お勧めできません。
「金融機関との早めの話し合い・相談」という「無視とは真逆の誠実な行動」が、
最も身を助ける方法だということをどうか忘れずに!