最近、何かと年金問題についてニュース等で耳にすることが多いと思います。
そんなニュースに触れて、年金は将来無くなるのではないかと漠然とした不安を持っている方も多いでしょうが、年金について正しく理解している人は驚くほど少ないのが実情です。
今回は、私たちの将来に深く関わる年金について、詳しく解説していきます。
自分がどんな年金を支払っているか知ってる?年金の種類と違い
年金にいくつかの種類があることはご存じかと思います。
国民年金や厚生年金など聞いたことがあると思いますが、それらの違いとは一体なのでしょうか。
簡単に言ってしまえば違いは以下のようになります。
①国民年金とは、20歳~59歳までの人が支払わなければならない最低限の年金です。それにより老後の年金が支給されたり、障害を負ってしまったときに保障を受けられたり、自分が死んだときに遺族に年金が払われたりします(それらを合わせて基礎年金と言います)。
②厚生年金とは、働いている人が国民年金+αを支払う年金です。+αを支払うことにより、国民年金に加えて老後に受け取る年金が増額され、受ける保障も手厚いものになります。
それでは、上記の年金の中身の違いについて、詳しく見ていきましょう。
国民年金ってどんな人が対象なの?月々の納付額や納付方法は?
国民年金とは、前述のとおり20歳~59歳までの人が支払う最低限の年金で、これを支払うことで老後や万が一のことがあっても最低限の生活が出来るという、セーフティネットの役割を果たすものです。
国民年金は3種類があります。それぞれの違い以下に見ていきましょう。
被保険者の種類 | 対象者 | 納付方法 | 受給される年金 | 納付額 |
第1号 | 農業に従事する人 学生、フリーター 無職の人 | 納付書による納付 口座振替 | 基礎年金 | 16,260円/月 (平成28年4月~) |
第2号 | 厚生年金の対象者 | 厚生年金の支払いに 含まれる | 基礎年金に加えて 厚生年金 厚生年金基金 (企業による) |
厚生年金の支払いに 含まれる |
第3号 | 第2号被保険者の 配偶者 | 配偶者が加入する 年金制度が負担 | 基礎年金 | 配偶者が加入する年金制度が負担 |
ポイントは、厚生年金の対象者も、第2号被保険者として国民年金の被保険者となる点、それから専業主婦の方などは第3号の被保険者となり納付は制度が負担するので無しとなる点です。(2017年3月21日現在)
ただし、専業主婦の方でも年収が130万を超えるなどした場合は第1号となり納付の義務が発生するので注意が必要です。
国民年金で受け取れる基礎年金の金額はどれくらい?
年金制度とは、「自分が支払った年金を将来受け取れる」のではなく、「自分の支払ったお金で今の老後世代を支える」仕組みのため、将来的に人口構成が変わることで受け取れる金額が変わる可能性が大いにあります。
あくまで現在(2017年3月時点)の条件では、基礎年金の金額および条件は以下となります。
①受給条件:300か月(25年)以上納付していること。
②受給開始年齢:65歳から(60歳から減額して支給してもらうことや、66歳~70歳までで増額して支給してもらうこともできます。)
③受給額:20歳~59歳まで40年間全て満額で納付している場合は年に約78万円支給されます。
④納付した月数などによって支給額は異なり、25年(300か月)で満額納付した場合は78万×25/40で年に約49万円支給されることになります。
⑤繰り上げて支給してもらう場合、0.5%×繰り上げ月数が減額されるため、60歳からの支給を希望する場合は30%減額されて支給されることになります。
(65歳から78万円支給→60歳から50万円支給)
⑥逆に繰り下げて支給してもらう場合は、0.7%×繰り下げ月数が増額され、70歳からの支給を希望する場合は42%増額されて支給されます。
(65歳から78万円支給→70歳から111万円支給)
企業で働いている方が主な対象 厚生年金の納付方法は?納付額はどれくらい?
厚生年金とは、主に企業に勤める方が加入する年金です。
前述の通り、厚生年金の被保険者は自動的に国民年金の第2号被保険者にもなりますので、老後は基礎年金に加えて、厚生年金を受け取ることができます。
被保険者の種類 | 対象者 | 納付方法 | 受給される年金 | 納付額 |
第1号 | 民間企業の会社員など |
事業主が被保険者の分を納付する。
納付額は事業主が半分を負担する。 |
基礎年金に加えて
厚生年金 厚生年金基金(企業による) |
報酬の18.182%ただし事業主が
半分負担するので、 被保険者の負担は 9.091% |
第2号 | 国家公務員共済組合の組合員 | |||
第3号 | 地方公務員等共済組合の組合員 | |||
第4号 | 私立学校教職員共済制度の加入者 |
(2017年3月21日現在)
厚生年金のポイントは、一番のポイントは、納付額の半分を事業主が負担してくれることです。
半分の金額しか被保険者は納めなくて良いのでお得だと言えます。
厚生年金の場合 老後にどれくらいもらえるの?計算方法は?
厚生年金の計算式はやや複雑で、正確な数値を知りたい場合は年金のシミュレータを使用するのが最も楽ですが、
加入期間中の平均月収 × 加入期間 × 係数(生年月日により変わる)
で計算されます。
例として、現在(2017年3月)の規定で計算すると、年収500万、加入期間40年の人が受け取れる厚生年金は、年に約110万円となります。
これだけ聞くと非常に少ないと思われるかもしれませんが、これに国民年金の基礎年金が加わることになります。
年金の種類やもらえる金額について、なんとなく全容が見えてきたのではないでしょうか?
ちなみに公益財団法人 生命保険文化センターの発表によると、老後 夫婦が最低限の生活を送るためには月に22万円、ゆとりある生活を送るためには月に35万が必要とされています。
現在(2017年3月)の規定では、夫が年収500万の会社員で妻が専業主婦の場合、夫と妻の基礎年金及び夫の厚生年金を合わせてかろうじて22万円に届くか、というところです。
さらに今後 高齢者が増え、労働人口が減ってくると支給額が減ることが予想されますので、年金だけで暮らすのはますます厳しくなるでしょう。
それらの状況を加味した上で、安心して老後を送るためにどのくらいのお金が必要となるかをよく考え、計画的に貯蓄・資産運用をしていくことが重要です。