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マイホームを購入する際、多くの方が住宅ローンを利用するかと思います。
借りる金額も大きいですし、どれくらい借りるのが目安なのかを事前に知っておきたいですよね。
ここでは、住宅ローンは年収の何倍までの金額を借りるのが目安なのか、また無理なく返済する方法について、お伝えしたいと思います。
みんなどれくらい借りている?
住宅ローン利用者に調査した年収倍率の結果
一昔前までは、年収の5倍までを住宅ローンで借りるのが目安と言われていましたが、昔に比べると金融機関も個人向けの融資を積極的に行っており、住宅を購入するためのお金をより借りやすくなっています。
では、最近の住宅ローン利用者は、年収の何倍までを借り入れているのでしょうか?
住宅金融支援機構が行っている「フラット35利用者調査」(2015年度版)によると、住宅ローンの借入額と年収額を比較した年収倍率の全国平均は以下のとおりです。
(表1:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2015年度版)」より著者が作成)
住宅タイプ | 年収倍率(全国) |
注文住宅 | 6.10% |
土地付注文住宅 | 6.90% |
建売住宅 | 6.30% |
マンション | 6.50% |
注文住宅の年収倍率は、2012年度下半期以降は上昇傾向にありましたが、2015年度はやや低下し、約6倍となりました。
このデータを見ると、近年の年収に対する住宅ローンの倍率は6倍前後であるといえます。
一昔前に言われていた年収の5倍という目安よりも高くなっているのは、既にお伝えしたとおり個人向けの融資が積極的に行われるようになったためであると考えられます。
住宅ローンを無理なく返済する方法は?
融資可能額と返済可能額の違い
実際に年収の6倍程度の金額を借り入れる方が多いと先ほどのデータで証明されましたが、本当にそんなに借りてしまってその後の返済は大丈夫なのでしょうか?
年収の6倍というのはあくまで目安と考え、無理のない返済計画を立てることが必要です。
そのためにまず理解していただきたいのが、「融資可能額」と「返済可能額」の違いです。
融資可能額とは、お金を貸してくれる金融機関が見積もった、貸しても確実に返ってくると予想される金額のことです。
一方、返済可能額は、お金を借りるあなた自身が見積もった、借りても確実に返せると予想できる金額です。
重要なのは、自身の返済可能額を正しく見積もることです。
金融機関に言われるまま高額の融資を受けて、自身の思っていた返済可能額よりも返済額が増えて生活が厳しくなる人が非常に多いのです。
今後何年働けるのか、受け取れる年収はどれくらいかということを、理想ではなく現実的に判断した上で返済計画を立ててください。
返済可能額を算出することで、自身が無理なく返済できる計画を立てることができます。
住宅ローンの返済計画を立てよう!
ポイントは手取り年収と勤続年数
無理のない返済計画を立てるためには返済可能額を正しく算出することが必要であるとお伝えしましたが、そのために大事なポイントをお伝えします。
まず、返済計画を立てる際、自身の年収は税金等が引かれた手取りで考えましょう。
年収を聞かれる場合は通常税込の金額を答えるかと思いますが、税金分の金額はあなたが自由に使うことができるお金ではありません。
そのため、税金が含まれた年収で返済計画を立ててしまうと、「想像していたよりも返済が厳しい」と苦しくなってしまうでしょう。
余裕のある返済ができなくなり、子どもの教育資金が足りなくなるなど将来設計が狂ってしまうこともあるため、注意が必要です。
なお手取り年収は、税込年収の8割として考えるのが無難です。
また、自身が今後働ける年数などを考慮し、年収を計算することも必要です。
①例えば、あなたが現在25歳で住宅ローンを組む場合は、一般的な返済年数である35年後には60歳になっています。
60歳が定年という会社に勤めていても、現役中に返済は終わるという見通しが立ちます。
②一方、あなたが現在40歳でローンを組む場合、35年後は75歳です。
大体の方が定年退職をしていると考えられる年齢のため、現役中にどれだけ繰上げ返済を行う必要があるかを考えるべきです。
このように、自身の年齢から今後の勤続年数を計算することで、返済計画を細かく設定することができます。
「定年後も同じくらいの年収で働いているだろうから…」と当てもないのに理想を盛り込んで考えるのではなく、現実的に毎月どのくらい返済ができて、何歳までに終わらせるという計画を立てなければいけません。
マイホームの購入は多くの方にとって一生に一度の大きな買い物ですので、失敗したくないですよね。
失敗しないためには、年収の何倍を借りられるかという目安や金融機関が勧める融資可能額を鵜呑みにせず、自身が堅実に返済できるよう事前に計画を立てることが必要です。
「一生に一度の買い物だし、せっかくだから…」と多めの金額を借りるのではなく、自身の年収から無理のない返済計画を立てましょう。