会社員の総支給額と手取り額にはかなりの乖離があることはご存知でしょう。
自分が思っていた以上に手取り額、いわゆる銀行の口座に入る金額が少ないことに気づくはずです。
これは強制的に天引きされる項目があるために起こっています。
具体的には、社会保険料や雇用保険料、所得税、住民税等がそれに当たります。
今回はその中から、所得税に特化して詳しく解説していきます。
サラリーマンの源泉所得税月額の計算方法は?
主たる事業所には、給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書という書類を提出することが義務付けられています。
これらに、控除対象配偶者や控除対象扶養親族(その年の12月31日現在の年齢が16歳以上)、特定扶養親族(控除対象扶養親族のうち19歳以上23歳未満)の事項の該当欄に記載することで所得税が大きく違ってきます。
源泉徴収額月額表(下記URL)に基づいて、例を挙げて説明していきます。
例)給与の金額(月額)300,000円
社会保険料合計額 45,000円
扶養親族1名 (控除対象配偶者)の場合
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社会保険料控除後の金額を算出します。
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30,0000円-45,000円=255,000円
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給与所得の源泉徴収税額表月額表を参照して、その月の社会保険料等控除後給与等の金額の254,000~257,000円の扶養家族1名のところで交わるのが5,140円となります。
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このようにして月々の源泉徴収税額が決定されています。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2013/data/01.pdf
(国税庁HPより)2017/03/30現在
賞与の所得税の算出方法は、月給の場合と異なる?
上記の月額とは異なった所得税の控除の仕方になっています。
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表に基づいて、例を挙げて説明していきます。
例)賞与の支給額 600,000円
賞与から控除する社会保険料合計額 90,000円
前月の普通給与の社会保険料控除後の金額 255,000円
扶養親族の数 1人
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賞与に対する源泉徴収税額の算出率の下表を使用します。
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前月の普通給与の社会保険料控除後の金額 255,000円が含まれる「243,000円~282,000円」から扶養親族1名の交わるところが賞与に対する掛け率になりますので、今回は4.084%になります。
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従って、600,000円-90,000円=510,000円に4.084%を掛けた20,828円が賞与に対する所得税額になります。端数は、1円未満切り捨てとなります。
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月々の源泉徴収税額とは全く異なった計算方法で賞与の所得税額は算出されているのがお分かりになったでしょう。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2016/data/15-16.pdf
(国税庁HPより)2017/03/30現在
年末調整=所得税額の過不足額を精算する仕組み
ここでは、主たる事業所に勤める方の所得税(甲欄)の算出根拠を説明してきました。
月々の源泉所得額及び賞与時における源泉所得額を徴収して、年末最後の給与もしくは賞与の支給日がやってきます。
そうすると、毎月、同じ額の給与であっても社会保険料率の変化や雇用保険料率の変化、残業手当、賞与支給月の直近の給与支給日において源泉所得税額は変動します。
この「年間を総計した収入に対する所得税はいくらなのか」を元に、いわゆる年末調整が以下のように行われます。
①年税額が確定すると今まで徴収してきた税額と年税額との差額が算出されます。
⇒②年税額より多く所得税を徴収していたならば、還付されます。
⇒③年税額より少なく徴収していたならば追徴という形でその差額を納めることになります。
このように年末調整が行われることにより、年税額にしたがって多く徴収しているか少なく徴収しているかで差額が生まれ、還付または追徴することでサラリーマンは自ら申告をせずに所得税の清算ができるという仕組みになっています。
注:ここでは、従たる事業所に勤める方の給与については、割愛させていただきました。