復興特別所得税という言葉を聞いたことはありますか?
いったい、誰がいくら払ってどのように払っているのかご存知でしょうか?
名前は聞いたことはあるけれども何だかよく分からない、という方が多いのではないでしょうか?
そこで今回はこの復興特別所得税について解説していきます。
復興特別所得税とはなに?誰が負担しているの?
発端は、2011年に起きた東日本大震災の被災地への復興支援の財源確保のために創設された所得税及び法人税です。
二種類のうち、ここでは復興特別所得税をメインに解説していきます。
負担を強いられるのは私たち国民の所得から算出される所得税からです。
個人の復興特別所得税は、平成25年1月1日から平成49年12月31までに支払われる給与等から徴収されます。
復興特別所得税額の算出方法は下記の公式に基づいて徴収されます。
復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%
具体的に例を挙げてご説明すればイメージは簡単に湧くでしょう。
所得税の納税額が100,000円とするならば、
その2.1%の2,100円が復興特別所得税額として支払っているものであるということです。
給与所得者は源泉徴収方式で毎月の給与から所得税を概算で天引きされ、年末調整で過不足精算をすることから何ら特別な手続きを経ることなく強制徴収されています。
個人事業主の方であれば、確定申告書に102.1%という欄が設けられているので、通常の年税額より2.1%も多く税金を納めなければならないことを実感しているはずです。
所得税の予定納税とは?手続きはどうなるの?
予定納税とは漢字を見ればなんとなく分かる気もしますね。
給与所得者には縁のなく、主に個人事業主の方に該当するケースです。
確定申告をする方は、毎月の源泉徴収はなく確定申告をした時に年税額を支払うというシステムを取っています。
しかし、日本では累進課税制度を採用しているので、所得の多い方は支払う所得税の額も多くなっています。
そうした時に、年税額を一括で支払うのは支払う側にとっても負担になります。
また、国も予算の資金繰りの関係でできるだけ少しでも早いタイミングで税収を手に入れたいという思惑があります。
そこで、登場するのが予定納税です。
所得税の予定納税とは、5月15日時点で決まっている前年度の所得金額や税額などを元にしてした計算が15万円以上の場合、予定納税基準額の3分の1ずつ1回目が7月1日から7月31日。2回目が11月1日から11月30日までに支払わなければなりません。
また、この予定納税は納税者が選ぶものではなく、税務署から通知を受けた該当者は全員、支払う義務が発生します。
また、それとは逆に予定納税はあくまで予定のため、実際の所得税納税額は予定納税額より少ないということもあります。
そのような場合は、翌年の確定申告の際に、余った分に加えて還付加算金と言われる金利を受け取ることができます。
復興特別「所得税」と「法人税」の大きな違いとは?
復興特別「所得税」は先に触れたように、平成49年12月31日までという非常に長い年月をかけて徴収されることになっています。
ただし、復興特別「法人税」は、平成26年度税制改正により1年前倒しで廃止が決定となり、平成26年3月31日までに開始する事業年度まで課税され、その後は廃止となりました。
これは安倍内閣が景気減退=アベノミクス失敗の烙印を恐れたために取られた手段と言われていますが、あくまで表向きは「個人への所得税増税に加えて法人税も増税すると、事業者に対して税金の二重課税になる」という論理に基いています。
しかし肝心の「復興のための財源確保」という点に対しては、国債を発行して補填し、いわば将来への負担を増やすことになっています。
つまり、所得税を平成49年までという長きに渡って増税した上に、国民の借金は増えることになります。
この復興特別税の扱いは、消費税増税とともに、税金に対しての私たちが鋭敏になる大きな機会と言えるのではないでしょうか?