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特別児童扶養手当という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
特別児童扶養手当とは障害がある子供の成長を支援するための国の制度です。
近年、障害、中でも発達障害と診断される子供が増加し、この20年で約7倍に増えています。
そのため自然と特別児童扶養手当にも注目が集まっています。
今回はこの制度について紹介していきます。
特別児童扶養手当ってどんな制度?月々どれくらいお金がもらえるの?

まず前提として、「特別児童扶養手当」と「児童扶養手当」とは全く別の制度であり、「児童扶養手当」は一人で子育てをしている家庭のサポートを目的としたものですので、混同しないようにしましょう。
「特別児童扶養手当」は、精神または身体に障害のある子どもを対象に、その保護者や養育者へ給付される扶養手当です。
給金額については障害の重さを表す等級によって異なり、原則として1級の場合は月々51,500円、2級の場合は月々34,300円が支払われます。
支払時期は毎年4、8、12月となっており、その月に前月までが支払われることになります。
ただし、平成29年4月「物価スライド制」が導入され、物価を考慮して毎年4月に手当の増減が行われるようになり、平成29年4月からは0.1%減額されています。
特別児童扶養手当を受けるための条件は?どうすれば手当を受けられる?

特別児童扶養手当を受けるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 対象の児童が20歳未満であること
- 障害の等級が1級もしくは2級であること
ただし、以下の場合は手当の対象外となります。
- 児童が施設などに入所している場合
- 障害を支給事由とする公的年金をすでに受給している場合
- 児童または受給者のいずれかが日本国内に住所を有しない場合
- 施行令で定める制限額を超える所得がある場合
2の障害を支給事由とする公的年金をすでに受給している場合というのは少し分かりにくいですが、考えられるのは、児童が高校卒業をしてすぐ就職して厚生年金に加入し、20歳未満で障害を負ってしまい障害厚生年金を受けているケースなどです。
以下が手当支給額になります。
扶養 | 本人(お金を受け取る人) | 配偶者及び扶養義務者 | ||
人数 | 収入額 | 所得額 | 収入額 | 所得額 |
0 | 6420000円 | 4596000円 | 8319000円 | 6287000円 |
1 | 6862000円 | 4976000円 | 8596000円 | 6536000円 |
2 | 7284000円 | 5356000円 | 8832000円 | 6749000円 |
3 | 7707000円 | 5736000円 | 9069000円 | 6962000円 |
4 | 8129000円 | 6116000円 | 9306000円 | 7175000円 |
5 | 8551000円 | 6496000円 | 9542000円 | 7388000円 |
所得の制限は、お金を受け取る本人だけでなく、その配偶者や扶養義務者(同居している祖父母や兄弟)にも制限がありますので、お金持ちの祖父母と同居している場合などは特に注意が必要です。
障害の等級はどうやって決まるの?発達障害の場合は?
障害の程度は2種類に区別され、第1級は誰かの補助なしでは生活できないような重い障害、第2級は何らかの社会的な支援が必要な中度の障害となります。
特別児童扶養手当の等級については、主に身体障害者手帳と療育手帳の等級によって区分されます。
1級は、療育手帳A または 身体障害者手帳の1,2級
2級は、療育手帳B または 身体障害者手帳の3級または4級の一部
(ただしあくまで目安なので、詳しくは市町村窓口に問い合わせて確認する必要があります)
発達障害の場合は、療養手帳を取得することになります。
療養手帳の申請方法は各自治体によって異なりますが、一例として以下の流れで申請できます。
①福祉事務所または児童相談書へ申請
②児童相談書で面接・聞き取りの判定(医者からの診断書があれば不要の場合も)
③判定結果に基づき療養手帳が交付
発達障害の場合でも特別児童扶養手当を受けられる可能性があります。
まずは医師に相談し、療養手帳と特別児童扶養手当の申請について確認してみると良いでしょう。
どうやって申請すればいいの?必要な書類は
申請時には、必要な書類を添えて、各市区町村の福祉担当窓口にて手続きを行う必要があります。
各市町村によって詳細は異なるため事前に確認を行う必要がありますが、例として必要な書類は以下のようなものがあります。
印鑑
申請者および児童の戸籍謄本
世帯全員の住民票の写し
所定の診断書(療育手帳または身体障害者手帳があれば不要の場合も)
申請者名義の普通預金口座通帳の写し
前年度の課税・非課税(所得)証明書
対象児童および同居している親族全員の個人カード または、個人番号が確認できるものと身元確認書類
個人番号を確認できるものとは、通知カード、個人番号が記載された住民票の写し、住民票記載事項証明書のいずれか。
身元確認資料は運転免許証、パスポートなどの顔写真付きの証明書を1点、もしくは健康保険証(本人確認を目的の場合、記号・番号と保険者番号部分は見えないように加工してから提出する必要があります)などの顔写真のない証明書を2点。
上記は一例になりますので、申請する自治体で申請時に必要なものを確認した上で、不足がないように準備するようにしましょう。
近年障害をもつ子供の割合が増えてきており、障害を持つ子供をどう育てれば良いかという問題は非常に身近なものとなっています。
障害をもつ子供を育てるのは大変で、金銭面だけでなく精神的にも大きな負担をしいられる場合があります。
特別児童扶養手当はそんな親をサポートしてくれるありがたい国の制度です。
該当する方はぜひ活用を検討してみてください。