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実は定年退職した後でも失業保険をもらうことはできます。
ただし、もらえるからといって、単に失業保険を申請すると色々なデメリットが生じます。
「定年退職後には失業保険をもらおう」「定年退職なのにもらえるの?」と考えている方のために、今回は定年退職と失業保険の関係について解説していきます。
(データは2017年4月10日現在のもの)
あなたは何歳?定年退職しても失業保険はもらうには年齢が大きく関係します
失業保険は定年退職して、60~65歳までに退職をした方であればもらうことはできます。
しかし、何もせず、家でゴロゴロしていてもらえるものではなく、再就職の意思があり、就職活動をしている方が働き先を見つけることができないときにもらう資格があります。
失業保険をもらっている間も求職活動をしている証明をハローワークに提出する必要があるなど、手間はかかるものだと考えておいてください。
また失業保険にはもらえる期間(受給期間)が決まっており、以下の表のように定年退職した会社での勤続年数に比例します。
勤続年数 | 10年未満 | 10~20年未満 | 20年以上 |
受給期間 | 90日 | 120日 | 150日 |
失業保険でもらえる手当は基本手当といい、60~65歳の人の場合は賃金日額の45%~80%を受け取れます。
この賃金日額とは退職前の180日間の賃金を日割りで計算したもので、休日も含め、6か月分の給料合計を180で割った金額を指します。
例えば、賃金日額6,000円と算出された場合、基本手当は80%と決まっていますので、4,292円と決まります。
あとはこの4,292円×受給期間分が失業保険としてもらえる総額となります。
定年退職をした年齢が60歳か61歳かで制度の利用法が大違い
働く意思もある、就職活動もすることを決めて、定年退職後に失業保険をもらう手続きをするのが必ずしもいいことなのか?とは言えません。
これは、年金をもらえる年齢かどうかポイントがあります。
退職した時の年齢が60歳なのか?もしくは61歳なのか?でその選択は大きく分かれます。
61歳から支給される年金に老齢厚生年金の特別支給というものがあります。
これはいわゆる「年金」と世間に認識されている老齢年金とは別のものです。
この老齢厚生年金の特別支給は以下の条件を満たせば、61歳~65歳まで受けられます。
①過去に会社員として厚生年金を1年以上間納めていること
②老齢基礎年金(国民年金)を25年以上(平成29年8月1日からは10年に変更)納めていること
③男性なら昭和36年4月1日以前、女性なら昭和41年4月1日以前生まれの方
つまり、仮に60歳で退職された場合、61歳になるまでは老齢厚生年金はもらえないので、失業保険をもらうための手続きをすべきと言えます。
では61歳を超えている場合はどうしたらよいのでしょうか?
61歳を超えている場合は老齢厚生年金の特別支給を受ける資格があります。
老齢厚生年金の特別支給と失業保険を同時に受けることはできないので、老齢厚生年金の特別支給か失業保険かを選ぶ必要があります。
この場合、老齢厚生年金の特別支給で受け取れる金額と、失業保険で受け取れる金額、どちらがもらえる金額が多いかを天秤にかけることとなります。
例えば、約40年働いて退職した時で、老齢厚生年金の特別支給と失業保険(基本手当4,292円の場合)の月にもらえる金額を比較してみますと、以下のようになります。
老齢厚生年金の特別支給 | 失業保険(基本手当4,292円×30) | |
約100,000円 | 128,760円 |
つまり、この場合は失業保険をもらったほうが賢い選択と言えますね。
65歳を超えて退職すれば年金と失業保険の両方をもらえる!
近年、65歳を超えても働く方が増えていますので、この2つの制度を両方利用できる方も多くいることになります。
65歳を超えて退職した場合だと、年金も失業保険も受けられます。
失業保険は30~50日×基本手当日額を一時金(1度のみの支給)として受け取ります。
仮に勤続年数が20年以上働いていた場合、65歳未満の退職なら150日の受給期間があることを考えれば、「損をする」ともいえます。
しかし失業保険の受給期間を150日にしたいと思えば、65歳になる前に退職するという方法も考えられますが、退職金と受給期間でもらえる失業保険の金額と照らし合わせると、わざわざ退職を早めるほどのことをするメリットはほとんどの方にとって無いでしょう。