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葬儀費用を喪主が全額負担はもう古い!?


故人とのお別れの儀式である葬儀は、多くの参列者を招いて行うことが多いため、式を行うためには一般的に多額の費用がかかるもの、という認識があります。

葬儀には主催者である喪主がおり、かつては葬儀費用は喪主が負担するもの、と考えられていましたが、現代の日本社会において、喪主個人が葬儀費用を全額負担するのはナンセンスと考えられますし、近い親戚が平等に負担しなければ不公平であるとも考えられます。

果たして現代の日本社会においては、葬儀費用は誰が負担するのが、最も公平的だといえるのでしょうか。

遺産相続との関連性を交えながら、詳細について解説を行なっていきます。

 

 

葬儀費用は喪主が負担するのが基本?

考える子ども

 

現代の日本社会においても、葬儀費用は配偶者や子どもといった喪主が負担するのが一般的と考えられています。

しかし、葬儀に係る費用は一般的に高額であることから、香典については全て喪主のものとし、香典を葬儀費用に充てるケースが多く見られるようになっています。

加えて、法定相続人の同意があれば、遺産を葬儀費用に充てることも認められていますし、実際に遺産から葬儀にかかる費用を差し引いて、残りを法定相続人で分配するというケースも世の中では多く見られます。

 

従って、葬儀にかかる費用は一般的には配偶者や子ども等の喪主が負担するもの、という考えが一般的であるものの、一個人だけに負担がかかりすぎないように配慮されている、と考えて差し支えないでしょう。

 

なお、葬儀費用が誰が負担するのかということについて、法律では明確に定められていないものの、判例を見てみますと、平成24年3月に名古屋高等裁判所が「葬儀費用は喪主が負担するものである」という判決を出しています。

今日の日本社会では、葬儀費用は相続人で平等に負担するのが一般的となっていますが、もしも喪主以外の法定相続人が葬儀費用の負担を拒み、裁判にまで発展してしまった場合には、喪主が葬儀費用を負担しなければならない可能性が高い、と考えられるでしょう。

 

 

遺産を葬儀費用に充てるメリットって?

指差す女性

 

法定相続人全員の同意があれば、遺産の協議が完了する前であっても故人の銀行口座から預金を引き出すことは認められているということもあって(但し金融機関によっては応じてくれない場合もあります)、遺産を葬儀費用に充てたいと考える人は大勢います。

実は遺産を葬儀費用に充てるのは、喪主一人に葬儀費用を負担させることを防げるだけでなく、税制上のメリットもあるので、葬儀費用を捻出する方法としては非常におすすめの方法となっているのです。

 

遺産を相続する場合、相続額から相続税の基礎控除額(基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の人数、という数式で計算することになっており、例えば法定相続人が配偶者と子ども二人という場合には、基礎控除額は4800万円となります)を差し引いても金額がゼロとならない場合には、相続税という税金がかかることとなります。

 

従って遺産額が一定額以上の場合には、相続時に納税義務が生じることとなるのですが、遺産の一部を葬儀費用として充てる場合、葬儀費用としてかかった金額については、相続税を計算する際に基礎控除額と同じように課税額から差し引いての計算が認められているのです。

遺産額が相続税の基礎控除額を超えていて、相続税が発生するという場合、遺産の一部を葬儀費用に充てるのは非常に有効であると言っても過言ではないのです。

 

但し、葬儀に関係する費用であれば何でも経費として相続税対策に利用できるというわけではなく墓石の購入費用墓を設置する土地の購入費用香典返しにかかった費用などは、相続税を計算する際に「葬儀費用」と差し引くことはできないので、注意が必要となります。

 

加えて、遺産を葬儀費用として利用する場合、規模の大きい葬儀を行った場合には、相続を承認した、とみなされて、その後遺産相続の放棄ができなくなってしまうことがあります。

もしもその後の調べで故人に大きな負債があることが判明した場合でも、相続を承認してしまった後では相続放棄ができず、故人に代わって負債を返済する義務を負うこととなるので、遺産を葬儀費用として利用する場合には、予め故人の資産状況や負債の有無などについてしっかりと確認しておくことをおすすめします。

 

 

まとめ

 

いかがでしたか。

葬儀費用は誰が負担するものなのかということや、遺産を葬儀費用として利用しても良いのか、遺産を葬儀費用として利用するメリットや注意点などについて、おわかりいただけたでしょうか。

 

かつての日本社会では喪主である配偶者や長男などが全額遺産を相続しており、遺産を全額相続するという立場から葬儀費用も喪主が負担するのが当然と考えられていました。

今日の日本社会では、遺産は法定相続人間で法律に則って平等に分配されますが、かつての名残で葬儀費用については喪主が負担するものという考えが未だに根強く残っており、また判例でもそのような考えが示されています。

 

しかし一方で、喪主一人に葬儀費用を全て負担させるは今の時代には合っていませんし、実際には相続人間で平等に負担しようと考えて実行するケースが大半を占めています。

 

相続人間に軋轢ができず、全員が納得して故人とお別れができるような形で、葬儀費用の負担割合を決めるのが望ましいと考えられますし、ぜひそのようにしたいものですね。







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